コロナ禍で変わるヨーロッパ都市のインフラの未来ビジョン
近年の気候危機への世界的な関心に加え、パンデミックが到来したことで、私たちのお互いと、そして環境とのインタラクションの捉え方や理解が大きく変化してきました。これらの変化により、仕事と余暇・都市と地方・グローバルとローカルなどの境界が曖昧になってきています。しかしこれらの潮流は決して新しいものではありません。むしろ、これまではゆっくりと起きていた変化が、気候危機やパンデミックにより加速していると言えます。
TakramはHitachi Design Londonと共に、これらの変遷を理解しつつもインスピレーションとし、私たちが実践しうる≪トランジション≫について考えました。また、その≪トランジション≫のあり方をシーンとして素描しつつ、それらを実現するために他の部門や部署との連携をお手伝いしました。
Publishing platform
ウェブデザインジャーナルのCore77と提携し、プロジェクトの過程を三遍に渡って公開しています。以下のリンクより各記事をご覧いただけます(英語のみ)。
- Starting a Discursive Design Project Amidst Anthropocene and Pandemic (邦題:人新世とパンデミックの只中で対話のためのデザインプロジェクトをはじめる)
- Trap of Utopia: Capturing People's Anxieties in a Discursive Design Project (邦題:ユートピアの罠:対話的デザインプロジェクトにおいて人々の不安を取り込む)
- The Importance of Locale in Envisioning the Future (邦題:未来を考える上での「場所」の重要性)
Process
まず、より各都市への理解を深めるべく、住民へのインタビュー、その都市を理解するにあたって重要なテーマを知るエキスパートへのインタビュー、またデスクトップリサーチを行いました。
パンデミックの渦中にある今、ただ望ましい未来を考えるのではなく、人々が抱える不安、懸念、社会システムとの摩擦などを理解し、それらを踏まえて未来を考えることが重要となります。そこで、数多くの議論とインタビューを経て、不安予測フレームワーク(Forecasted Anxiety Frameworks)と望ましい未来フレームワーク(Desirable Future Frameworks)の二つのフレームワーク群を作成しました。不安予測フレームワークはパンデミックとパンデミックを経て露呈した都市の欠陥への住民の不安を捉え、望ましい未来フレームワークはそれらの不安を踏まえ、理想的な都市の姿を描くためのものです。
この二つのフレームワークをもとに、各場所のコミュニティのニーズのために、曖昧な境界が有効・有用に作用する未来像のイラストレーションを作成しました。各イラストレーションではこれらの不安がどのような形で表出しうるか、そして望ましい未来においてはそれらがどのように解消されうるかを提示しています。
これらのイラストレーションは、フレームワークから導き出された≪トランジション≫や未来の理想像をよりはっきりとさせただけでなく、ステークホルダーとコミュニケーションにおいても重要なツールとなりました。
Outcome
Project Information
- Client: Hitachi, Ltd.
- Expertise: Futures
- Year: 2020
Project Team
- Project Direction: Yosuke Ushigome (ex-Takram)
- Research: Jonathan Skjøtt (ex-Takram)Fiona Linn (ex-Takram)