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大量消費モデルのジレンマローカルでの小規模な流通を考えるゲスト:ごみの学校寺井正幸さん ── TakramCircular Design 03

わたしたちが日々携わるデザインやものづくりにおいて環境への影響を意識することは増えましたがつくる側捨てる側処理する側)」の間にはまだまだ大きなギャップが存在しています今回はTakramメンバーと株式会社ごみの学校代表の寺井正幸さんをゲストにお迎えしデザインとごみの関係そして新しい循環のかたちについて語り合ったポッドキャストをダイジェストとしてお届けします
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黒いプラスチックは悪 つくる側・東京捨てる側・ローカルの分断

田仲 Takram 本日は株式会社ごみの学校代表の寺井正幸さんをお招きしましたまずは簡単に自己紹介をお願いできますか

寺井正幸さんごみの学校 わたしが代表を務める株式会社ごみの学校はごみを開いてワクワクする社会をつくることをめざしている組織です自治体と連携してごみ削減の事業を行ったり企業と一緒にごみを産まないサプライチェーンの支援をしたりしていますまたひらけごみというポッドキャストでデザイナーの方々に知ってほしい素材の裏側や循環の仕組みをマニアックに解説しています

田仲 以前Takramのメンバーと寺井さんでミーティングをしたとき素材のについての話がとても印象的でした

寺井さん そうですねプラスチックをリサイクルする際工場では遠赤外線を使って光の反射で素材を選別する技術を使っています黒色は光をすべて吸収してしまうためリサイクルの判別が非常に難しいんですだからごみ処理の現場では黒のプラを使うってセンスねぇなと思われがちなんですよ

田仲 デザイナーは長く使えるように飽きがこないようにと良かれと思って黒を選んでいることも多いと思います

寺井さん もし1年程度で捨てられるような短寿命のプロダクトであれば黒ではなくもっと循環しやすい素材や色を選んだほうがいいこういった情報はデザイナー側にインプットされる機会がほとんどありませんリサイクルの現場にデザイナーさんがいることもないですしお互いに交流する場がないのが現状ですあるいはデザイナーが多い東京や大都市とごみについての課題が多いローカルのコミュニケーションが少ないと思っています

田仲 確かにデザインの世界と廃棄・処理の世界では普段使っている言葉も全然違いますよねサーキュラー循環)」とかリジェネラティブ再生成)」といった言葉で会話しているわけではないというか

寺井さん 現場ではこれ分別しづらいなめんどくせぇなというレベルで語られていますからね共通言語や対話の場がないという大きな構造的課題を解決しようと思って始めたのがごみの学校ですこの活動がデザインを考えるうえでの肥料になればなと思ってやっています 本日は株式会社ごみの学校代表の寺井正幸さんをお招きしましたまずは簡単に自己紹介をお願いできますか

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photo courtesy of Gomi no Gakkou Inc.

循環型デザインが生き残りやすい流通を考える

田仲 メーカーにおいても循環型デザインへの理解は進んできたものの実際にものづくりが劇的に変わるというところまでは至っていないように思いますどんな壁があるのでしょう

寺井さん 大企業の方もデザイナーさんもコンセプトにはめちゃめちゃ共感してくれますでもいざ商品化となるとコストと品質そしてそれが事業として成り立つのかという大きな壁にぶつかります

いちばん厳しいのはいまの流通や販売が大量生産・大量消費を前提としている点です大規模につくって大規模な小売りに置き何万人にも買ってもらうことで単価を下げるモデルですね

一方で循環型デザインの強みは誰か1人に長く使ってもらうことだったりするのでこの既存のシステムにはめた瞬間に相性が悪くて生き残れないんです

菅野恵美Takram 循環性のあるデザインが生き残りやすい流通を考えるとすると例えばコンビニにファブラボのような修理するステーションがくっついているようなイメージでしょうか

寺井さん そうだと思います例えばわたしの地元の京都府亀岡市ではリペアカフェという取り組みをやっています地域の人が月1回集まって壊れたものを自由に直すイベントで年間600700人が来てくれますみなさんおっしゃるのはミシンを一家に1台所有するのはコスパが悪いでも地域に1個はあって欲しいということ機能に対するニーズは変わらないですがその求め方が変わってきています

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photo courtesy of Gomi no Gakkou Inc.

菅野 一昨年台湾の古風小白屋という修理小屋を見に行ったときも同じような光景がありました退職したエンジニアのおじさんたちが若い大学生のヘアアイロンを直してあげてその大学生が癒されると言って帰っていくSheinTemuとかウルトラ・ファストファッションと呼ばれるものが流行るなかでその対極にあるような行為の価値が実感されている素敵な現象だなと思いました

寺井さん 亀岡でも同じことが起きています元大手メーカーの70代のエンジニアのおじいちゃんが3歳の子どもの壊れたプラレールを直してあげてある日その子から感謝状をもらっていたんですあるいは移住者にとって知り合いを増やしやすい場になっていたりお金を中心とした資本主義のなかではこの行いに値段はつけられませんがコミュニティとしての確かな価値を生んでいる気がします

スケールさせないローカルでの小規模な流通が生む新しいまちの個性

山田水香Takram こういったコミュニティの見えない価値をスケール化させるのは難しい適度な人数感で回るからこその価値ってありますよね

寺井さん デザイナーさんたちを見ているとデザインの延長線にスケールがあるとすごく窮屈なんじゃないかと思いますオペレーション標準化効率よく量産していこうという話になる

本来一人ひとりにベストマッチしたものをつくるほうが満足度が高いとわかりつつスケールを前提とするといろんな制約が増えますよね多ければいいという考え方をシフトチェンジしない限りいろんな課題は残り続けると思っているんですがみなさん側から見るとスケールさせることをどう捉えているのでしょう

山田 わたしはWebやデジタルを専門としているので数字やスケールの前提はありつつごみとは直接は結びつかない領域ではありますでもデジタルプロダクトの世界でもとにかくユーザー数を増やすのではなくLife Time ValueLTVを指標にするほうがいいという考えをもつ人は一定数います個人的にはしっかり刺さる人に長く使ってもらえるプロダクトのほうが価値に深みが出るというふうに考えています

菅野 わたしは前職が広告代理店だったのでまさにスケールさせてなんぼの世界にいましたただ必ずしも大量生産のデザインも敵に回しきれないという感覚はあってやっぱり大量生産・低価格でないと手が届かない層が一定数いるそのインフラとしての価値は認めつつリバランスしていかなきゃいけないということはその通りだと思っています

寺井さん 大量消費モデルに依存しているのはごみ処理業界も同じなんですごみの量がないとリサイクル会社は売上が立たないんですよだから分別を徹底されるとごみが減って困ると考える社長もいるくらいででもこのままでは焼却も埋め立てもいつか限界が来るし人口は減っていくなかでどう生き残るかわれわれも苦しい立場にあります

つくる側と捨てる側どちらもスケールさせないとしんどいなかで一緒になって解決策を考えていく必要があるんじゃないかと考えていてぼくはローカルでの小規模な流通モデルに可能性を感じています

例えば服やプラを捨てた後にローカルの小さいものづくり会社やリサイクル会社などいくつかのキャッシュポイントを回っていくようなそういうもののほうが合理的になるんじゃないかと思っています1030万人規模の街でこういった小さな循環を面でつくっていくのがひとつの突破口になる気がします

田仲 その先で各街に個性が出てくるといいですねものづくりとかリジェネラティブなプロダクトデザインのあり方に宿るということだけでなくそこに住んでいる人全員の生業を少しずつズラしていくようなことになるんでしょうね

菅野 各地域がもっている特性を活かしたつくる捨てるの間の活動が増えていくといいですよね例えばあそこの街は金継ぎならぬプラ継ぎ文化があるよねといったことが新しい街のブランドになっていくとおもしろい

寺井さん ものづくりやリサイクル会社だけでなく社会にいる人たち全体のコミュニケーションをどうするかというのがベースにあってそのなかでどういう連鎖をつくるかというのがリジェネラティブデザインやサーキュラーデザインの根本だと思います

さっきのプラ継ぎでいえばぼくらもローカルプラスチックコミュニティという取り組みで子どもたちが集めた廃プラスチックを地元のゆるキャラのキーホルダーに加工し福祉作業所の方々につくってもらって地域で還元するといった小さな連鎖をつくっています地域の生物システムみたいにいろんな人が連鎖して成り立っている生業というものがつくれるとおもしろいんじゃないかと思います

つくる側捨てる側が交わることで見えていなかった課題や新しいクリエイティビティの種がたくさん発見できた対話でした記事では紹介しきれなかった議論やアイデアはぜひTakram Castの音声本編でお楽しみください

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04では202511月にNTT都市開発 デザイン戦略室とTakramとで実施したポップアップスペースAuthors Harajukuの取り組みについて掘り下げていきます直進する経済と迂回する経済バザールとクラブ両極にある概念を往還した試みを振り返りながらCircular Designの可能性について探索します
04 : NTT都市開発 デザイン戦略室との新しいまちづくり編につづく
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Megumi Kanno
Business Designer, Project Director

慶應義塾大学総合政策学部在学中デザインシンキングやデザインリサーチスペキュラティブデザイン等を学ぶ卒業後は株式会社ADKにてストラテジックプランナーとしてナショナルクライアントからスタートアップ企業まで数十社の多様なカテゴリのマーケティングやブランディングを国内及びグローバル市場に向けて担当

2019年よりTakramに参加エンジニアリングやクリエイティブとビジネスを架橋するビジネスデザイナーとして長期成長性や耐久性のあるビジネス創造・支援に取り組む

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Kaoru Tanaka
Design Consultant, Designer, Project Director
デザイン思考やシステム思考などの幅広い知識と経験を活かしブランディングUXデザインリサーチサービスデザインを通してクライアントの価値創造をサポートし数々のプロダクトや新規事業を世に送り出している最近はサーキュラーデザインなど社会課題への取り組みや人が本来もつ創造性を活かすためのマインドセットと文化を醸成する組織変革にも取り組む博報堂でブランディングIDEOでデザインコンサルティングをそれぞれ10年以上経験IDEOでは東京オフィス設立以前の2006年から日本市場開拓に尽力し最終的にIDEO Tokyoの共同代表を務めた映像や音楽制作のバックグラウンドをもつハワイ・ニューヨークの田舎育ちロードバイクと料理が好きで最初で最後のジャンバラヤ・レシピコンテストの優勝者
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Suika Yamada
Digital Product Designer
東京藝術大学デザイン科在学中にデザインや表現について多面的に学ぶコミュニティデザインを含むソーシャルデザインの潮流に触れものだけでなくことのデザインを学ぶためにデンマークへ留学Communication designを学びながらデザインの社会への関わり方を観察する使う人の体験からプロダクトとの接点までを一貫して考えるUI/UXデザインを中心領域とし帰国後は株式会社リクルートにてデジタルプロダクトのグロースや新規立ち上げ案件のデザインマネジメントを行なう2022年よりTakramに参加リサーチやデジタルプロダクトのプロジェクトなどで活動する傍らフリーランスとして地方自治体や伝統工芸のつくり手を支援するデザインプロジェクトなどに携わる