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Feb 6, 2026/Writing

ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルを読み解くいくつかのコンテクスト ── Ways of Seeing: Espace Louis Vuitton Tokyo #1, #2

Takramエスパス ルイ・ヴィトン東京とコラボレーションしカルチュラルプログラムWays of Seeingをスタートしました初回として現在開催中のアンディ・ウォーホル「ANDY WARHOL SERIAL PORTRAITS」展に合わせて2回のイベントを開催しました
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  • Ways of Seeing
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ウォーホルから学ぶルールハッキングの可能性

Ways of Seeing新たな視点や深い洞察を通してアートの楽しみ方や日常での豊かな気づきを引き出すことを目的としたプログラムですアートの外側からの視点をもたらしてくれる多彩なゲストとともにアートあるいはアーティストを考察していきます

1Rules: Limits or Driver?では法律家の水野祐氏に法的側面からアンディ・ウォーホルを読み解いていただきました水野氏は著作権・知的財産権さらにはAI3Dプリンターなど新技術と法の接点に詳しくアーティストやクリエイターの創作活動を法的側面からサポートしています

今回のトークテーマはルールメイキングルールはクリエイションの制約かそれとも原動力か多くの人がルールを“縛り”と捉えがちななかいかにしてクリエイションやビジネスを飛躍させる“ジャンプ台”として機能させるか参加者とともにウォーホルの実践や手法を通してヒントを探りました

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水野 祐|Tasuku Mizuno
法律家弁護士シティライツ法律事務所東京弁護士会Creative Commons Japan理事グッドデザイン賞審査委員慶應義塾大学SFC非常勤講師note株式会社などの社外役員著作に法のデザイン −創造性とイノベーションは法によって加速するフィルムアート社共著にルール 創造的に生きるためのデザインフィルムアート社連載に新しい社会契約あるいはそれに代わる何か)』WIRED日本版など

水野氏が挙げたキーワードはルールハッカーとしてのアンディ・ウォーホルです言わずと知れたポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルその代表作であるキャンベルのスープ缶マリリン・モンローに代表される初期のシルクスクリーン作品は著作権・商標権・肖像権・パブリシティ権の観点からいえばグレーか黒に近い領域から出発していた水野氏は考えます

しかし当時は米国といえども作品の権利に比較的寛容な時代だったこともありそもそも訴訟にまで至らなかったり訴訟に発展しても和解に至るケースが多くありましたその過程でウォーホルやその作品の名声が爆発的に高まるなかで社会にアプロプリエーション流用という概念と手法が広く知られるようになっていきます

その流れは1990年代に米国著作権法107条のフェアユース公正利用規定における最高裁の判断基準である変容的利用Transformative Use)」理論の確立にもつながっていったのではないかと水野氏はいいます

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フェアユースとはひと言でいえば目的が公正批評報道教育・研究などであれば著作権侵害にならないとする考え方目的・質・量・市場への影響の4要素を総合的に判断します

変容的利用とは元の著作物の単なる複製ではなく新しい表現や意味・メッセージを付加し異なる目的で用いることでこのような目的が認められる場合にはフェアユースだと判断されやすいとされてきましたそしてさらに興味深いのはこの理論はアートなどの表現分野だけでなく検索エンジンやAI学習など米国における新たなサービスを適法化する装置=エンジンとして機能してきたことです

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またウォーホルは“大量生産される芸術”という概念を打ち出しそれを価値化し市場に流通させたアーティストでもあります

ウォーホルは”アーティスト”という存在そのものを“制度化・法人化”するかのようにシルクスクリーン作品を工場のように量産する制作拠点ファクトリーThe Factory)」の構築をしていきますそれは芸術作品は作家本人によるものであるというアートにおける真正性Authenticityのルールをハックする行為ともいえます

ウォーホルはビジネスは最高のアートであるという自身の言葉どおりアートの概念と手法をビジネスと接続してみせましたルールを回避するのではなくその境界を試し更新していくそんなウォーホルの姿勢がいまもクリエイションとビジネスの両方に有効な問いを投げかけています

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トーク後のミートアップではチョコレートともにOverview Coffeeのコーヒーを提供

ジョナス・メカスの眼が捉えたウォーホル

2SCENES FROM THE  DIARIESでは移動映画館キノ・イグルーによるCINECLUBを開催キノ・イグルーは東京を拠点にほぼ毎週のように商業施設カフェパン屋酒蔵美術館無人島など全国各地のさまざまな場所で世界各国の映画を届けています

上映作品は“米国実験映画のゴッドファーザー”と称される映像作家ジョナス・メカスによるSCENES FROM THE LIFE OF ANDY WARHOL

この作品は19906月にパリのポンピドゥー・センターで開催されたアンディ・ウォーホル・レトロスペクティヴのためにこれまでに撮り溜めた膨大な日記フィルムのなかから友人でもあるアンディ・ウォーホルに関わる断片を抜き出し編集したものです

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アンディ・ウォーホルにまつわる映画は数多あれどなぜSCENES FROM THE LIFE OF ANDY WARHOLだったのかその意図を有坂氏は次のように話します

この映画をウォーホル作品に囲まれた中で見てもらいたいと思ったのはその時代の空気感やウォーホルがどのような人たちと交流していたかを文字では知っている人がいてもどういう表情でどういう距離感でいわゆるセレブと呼ばれる人たちと付き合っていたのかを映像で見たことがある人が少ないと思ったからです

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​有坂 塁|Rui Arisaka
2003年に中学校の同級生である渡辺順也と移動映画館キノ・イグルーを設立東京を拠点に全国各地の商業施設カフェパン屋酒蔵美術館 無人島などで世界各国の映画を上映しているほかにも映画カウンセリングあなたのために映画をえらびます毎朝インスタグラムに思いついた映画を投稿するねおきシネマ著書18歳までに子どもにみせたい映画100KADOKAWAなどを通し自由な発想で映画の楽しさを伝えている

映画にはウォーホルはもちろんビート・ジェネレーションを代表する詩人アレン・ギンズバーグやルー・リードニコイーディー・セジウィックジョン・レノンオノ・ヨーコポール・モリセイミック・ジャガーデニス・ホッパージャクリーン・ケネディ・オナシス......と多士済々が出演しています

16mmフィルムのハンディカメラを携えたメカスはこの作品でニューヨークのアートシーンで映画・音楽・アートの垣根を越えてさまざまなアンダーグラウンドな表現をするアーティストたちが同時多発的に出てくる様子を捉えます

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時代の目撃者であるメカスはニューヨークの伝説的なナイトクラブStudio 54でのウォーホルの様子について決して騒ぎの中心には立たずいつも隅で人びとを静かに観察しポラロイドを撮り続けていたと述懐しています

その観察する眼差しこそが大量消費社会の象徴や人びとをシニカルかつ客観的に捉えポップアートの源泉になったのではないかとも触れています

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メカスは最晩年までビデオカメラをはじめさまざまな“装置”なんとスマートフォンまでもを使いながら身辺での出来事を記録し続けましたなにがそこまで突き動かすのか ──

リトアニアから米国へ亡命して英語に不自由だったメカスは自身の映画制作を自己防衛と表現しましたそれは感覚や存在全体を守り日常のささやかな事柄に注意を向ける行為でもあったからだと自身でも語っています

またメカス作品は従来の映画のように一本の作品を仕上げることを目的に撮られたものではなく社会と向き合うために記録し続けた“アーカイブ”がさまざまなテクニックを駆使して作品へと結実していったものであるということ映画史においてこのような制作のあり方は稀有なものであると有坂氏は解説します

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そして2026年のいま観るとメカスの作品はとても現代的に感じられると続けます日々の記録と編集のスタイルは現代のVlogやライフログInstagramのリールに通じるものがあり若い世代が意外な共感を覚えるかもしれないからです

上映会はジョナス・メカスの眼を通して見るアンディ・ウォーホルとメカスの代名詞ともいえる日記映画を堪能する一夜となりました

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ANDY WARHOL SERIAL PORTRAITS」展の会期は215までとなっていますさまざまな表現手法をもつアンディ・ウォーホルですがそのなかからポートレイト作品にフォーカスしたユニークな展覧会となっています

なかにはイラストレーターとしてのバックグラウンドを感じさせる人物のドローイング作品も見られる大変貴重な機会です会期は残すところ約1週間まだご覧になっていない方あるいは最後にもう一度という方はお見逃しなく

アンディ・ウォーホル SERIAL PORTRAITS SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」展

会期:– 2026215
2/7811水・祝15:00~展覧会解説ツアーあり事前予約不要所要時間約15
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ·ヴィトン表参道ビル 7F
開館時間:12:00 - 20:00
休館日はルイ·ヴィトン 表参道店に準じます
入場無料

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Sonoka Sagara
Culture & Relations, Designer
株式会社ロフトワークにてFabCafeのアートディレクション・企画運営に携わったのちフリーランスを経て2018年に株式会社メルカリに入社研究開発組織R4Dを経て全社のブランディングを担当デザインフェスティバルFeatured Projects主宰公私ともにクリエイティブでオープンな場の実現・発展に取り組む2021年からTakramに参加
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Takafumi Yano
Culture & Relations, Editor
メディアを越えて人や事象の媒介となるエディターメディアプランニングにとどまらず編集という手法を用いてコミュニケーション場づくりなど多種多様なアウトプットに対応する企業PR誌などの編集制作からキャリアをスタートし編集ワークショップスーパースクール11にて 編集者/クリエイティブディレクターの後藤繁雄氏に師事その後生活実用誌暮しの手帖テックカルチャーメディアWIRED日本版でプリントやデジタルコンテンツ制作などを手がける趣味は100km超の野山を駆け抜けるウルトラディスタンスのトレイルランニング
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Keisuke Sakagawa
Security Manager, Operations Designer
メンバーのパフォーマンスを最大化させるために潜在的なニーズを組織の文脈へと翻訳するオペレーション・デザイナーAI活用を単なる運用ではなく戦略的活用や自動化を通じてビジネスを加速させる仕組み攻めのガバナンスを追求している Apple JapanPhilips Japanを経てスタートアップ急成長期におけるIT部門立ち上げや大型M&Aオフィス移転PMなど組織の結節点となる役割を数多く担ってきた現在はパラレルキャリアとしてセキュリティコンサルティングからITコスト最適化まで事業フェーズに即した組織基盤の構築支援も行っているプライベートでは宮崎県でカフェ・コワーキングスペースを自ら設計・運営デザインから決算までを一貫して手がける経験は職能を越えて最適解を導き出す自身のスタイルの礎となっている無類のコーヒーラバーとして焙煎を通じて素材のポテンシャルを引き出す変数の制御を探究する